製作へのこだわり
内型と呼ばれる型を使った伝統的なクレモナスタイルで製作しています。
現在は、クレモナスタイルと一言にいっても、基本的な作り方は共通していますが、いくつかの製作工程や仕上げなど製作者によってそれぞれの個性を持つスタイルが存在します。
私の楽器は現在のクレモナの製作スタイルを踏襲しつつ、音響のための工夫や、1700年代の製作者(ストラディバリ、ガルネリ)の楽器の当時の形を資料などから考察し、それに自分なりのデザインに対する考えやこだわりを加えて仕上げています。
モデルについて
現在は主としてストラディバリの1715年製のヴァイオリン、ガルネリの1743年製のヴァイオリン(カノン)それぞれをベースにデザインし直したしたモデル、そしてガルネリのビュータン(1740年)からインスパイアされデザインしたオリジナルモデルを主に製作しています。
楽器の写真等を元に音響や外観の美しさの観点から修正を加えてデザインし直しています。それぞれのモデルはギャラリーでご覧ください。
もちろん他のモデルや楽器もオーダーで製作することは可能ですので是非ご相談ください。
材料について
表板は北イタリアやドイツのabeterosso(欧州トウヒ)を、横板、裏板、ネックにはボスニア、クロアチアなどのacero(楓)を厳選して使用しています。音響や、歪みの起こりにくいよう木目を重視し、かつできるだけ綺麗な材料を選んでいます。それらの材料の中から比重や強さにより組み合わせを考え製作しています。
ニスについて
オイルニスを使用。近年の研究によりストラディバリやガルネリが製作していた当時もオイルニスが使われてたと言われています。当時は主な成分は松脂であったと言われていますが、湿度の高い日本の気候などを考慮し、琥珀(アンバー)を主成分とした物を使っています。琥珀は化石化した樹脂で乾燥後の温度や湿度による変化に強いと言われています。
オイルニスはアルコールニスとは違い、紫外線によるオイルの酸化重合により乾きます。皮膜はオイル成分があるために硬いアンバー樹脂を使っても硬くなりすぎません。また一般的にオイルニスは層が厚いイメージがありますが一般的にはむしろ薄く、木材の振動特性を邪魔しない皮膜を形成します。ニスの仕上げについては、ニスの表面に木の質感をある程度残すような仕上げにしています。
ご要望によりアルコールニスによるニスの塗布やオイルニスによるアンティーク仕上げも可能です。
音色について
ある程度の音量はもちろん必要ですが、音量よりも音質を重視しています。
柔らかくかつ芯のある音を目指してつくっています。
音色も含め演奏家目線での製作、調整を行い、弾きやすい楽器を製作します。
〜弾きやすい楽器の特徴とは〜
ポジション移動のしやすさや弦の押さえやすさなど演奏家の目線に立って細かい部分の調整を行います。